南国・台湾では、かき氷は一年中食べられるおやつ。食べる人も頻度も多いので、日本とはまた違った形でかき氷文化が発達している。ここでは台湾かき氷の伝統的なスタイルと、最新トレンドを紹介する。
『この記事の目次』
年に4回、台湾に行く目的は「かき氷」
「トーキョーウジキントキ」と名乗っていながら、私は台湾が大好きだ。もう10年以上、台湾に通っている。特にLCCで安くチケットが買えるようになったこの4~5年は、年に4回ペースで台湾の各地へ出かけている。一番の目的は、かき氷だ。
台湾のかき氷と聞いて、多くの人が思い浮かべるのは「ICE MONSTER」のマンゴーかき氷ではないだろうか。牛乳で味を付けた白い氷を削り、たっぷりの果肉入りマンゴーソースと練乳をかけ、トップにマンゴーアイスクリームを載せたかき氷。
ICE MONSTERは台湾かき氷の典型例だが、私が台湾のかき氷を面白いと思ったきっかけは、銀座の中国茶店「三徳堂」だった(写真)。毎年夏になると、期間限定でマンゴーかき氷が登場する。しかしそれはICE MONSTERのそれとは大分違う。純氷を削ったかき氷に黒糖のシロップをかけ、カットしたばかりのマンゴーをたっぷりと載せる。食べられるのはマンゴーがおいしい季節だけだ。マンゴーがない時期には、これまたたっぷり豆を載せた、やはり黒砂糖のシロップのかき氷が食べられる。「なぜマンゴーに黒糖なんですか?」と問うた私に、マダムはにっこりと笑って「台湾の伝統的なかき氷なのよ」と答えた。
「台湾のかき氷、面白そうだ」――それ以来私は台湾に通うようになり、かき氷を食べ続けた。中国語ができないから、分からないことがあっても質問できず、ひたすら自分で食べてみるしかない。筆談や指差しで注文すると、食べたいものと違うものが出てきて「食べたいかき氷が食べられない」と悔しがる経験もたくさんした。あれから14年、だいぶ台湾かき氷事情が掴めてきた気がする。
台湾のかき氷と聞いて、多くの人が思い浮かべるのは「ICE MONSTER」のマンゴーかき氷ではないだろうか。牛乳で味を付けた白い氷を削り、たっぷりの果肉入りマンゴーソースと練乳をかけ、トップにマンゴーアイスクリームを載せたかき氷。
ICE MONSTERは台湾かき氷の典型例だが、私が台湾のかき氷を面白いと思ったきっかけは、銀座の中国茶店「三徳堂」だった(写真)。毎年夏になると、期間限定でマンゴーかき氷が登場する。しかしそれはICE MONSTERのそれとは大分違う。純氷を削ったかき氷に黒糖のシロップをかけ、カットしたばかりのマンゴーをたっぷりと載せる。食べられるのはマンゴーがおいしい季節だけだ。マンゴーがない時期には、これまたたっぷり豆を載せた、やはり黒砂糖のシロップのかき氷が食べられる。「なぜマンゴーに黒糖なんですか?」と問うた私に、マダムはにっこりと笑って「台湾の伝統的なかき氷なのよ」と答えた。
「台湾のかき氷、面白そうだ」――それ以来私は台湾に通うようになり、かき氷を食べ続けた。中国語ができないから、分からないことがあっても質問できず、ひたすら自分で食べてみるしかない。筆談や指差しで注文すると、食べたいものと違うものが出てきて「食べたいかき氷が食べられない」と悔しがる経験もたくさんした。あれから14年、だいぶ台湾かき氷事情が掴めてきた気がする。
黒糖シロップ+たっぷりの具材が“伝統の味”
台湾の街を歩くと、あちこちにかき氷店がある。店頭にはたいていガラスケースがあって、緑豆・紅豆などさまざまな豆、ハトムギ、ピーナツ、キクラゲ、蓮の実、白玉、芋圓(芋を練り込んだ団子)、愛玉子(植物から作るゼリーのようなもの)などの具材が入ったバットがずらりと並ぶ。お客は好きな具材を数種類選び氷の上にかけてもらう。いずれの具も、日本の甘味の感覚からするとかなり“薄甘い”味に煮てあり、他の具材と馴染みやすい。シロップは黒糖や練乳が多い。1杯食べるとかなりお腹がふくれるボリュームだが、豪勢に具を載せても1杯100~300円というところだ。
追加料金を払えば具材はどんどん増やせるので、好きなだけ注文してOK。たくさんの種類の具が載っているかき氷を「八宝冰」という。中華料理の「八宝菜」と同じ、たくさんの具が入ったかき氷、という意味だ。写真は、台北「双連○子湯」のかき氷。刺さっているスプーンがカレースプーンサイズ、といったら、かき氷のボリュームが分かるだろうか。
台湾は暑い国なので、基本的に冷たいものはとてもおいしく感じられる。外気が入るところで食べている分には、頭がキーンとするなんて心配は無用。氷をかいて、甘いものを掛けて食べればそれだけでごちそうだ。日本ではすっかり定着した「氷の温度を上げ、薄くふわふわにかく」というかき方だと、あっという間に氷が溶けてしまって喜ばれない。むしろ、ボリュームがあって重い具に負けない、粗めにかいた氷が主流だった。
そんな台湾で「でもやっぱり、氷もふわふわなほうがおいしいよね」ということで出てきたのが「雪花冰」だ。牛乳を入れ、甘みをつけて凍らせた氷のブロックを削る。口溶けが柔らかくなるほか、素氷の部分がアイスクリームのような味になる。普通の氷を削ったかき氷は「刨冰」といい、刨冰と雪花冰を選べる店も多い。
追加料金を払えば具材はどんどん増やせるので、好きなだけ注文してOK。たくさんの種類の具が載っているかき氷を「八宝冰」という。中華料理の「八宝菜」と同じ、たくさんの具が入ったかき氷、という意味だ。写真は、台北「双連○子湯」のかき氷。刺さっているスプーンがカレースプーンサイズ、といったら、かき氷のボリュームが分かるだろうか。
台湾は暑い国なので、基本的に冷たいものはとてもおいしく感じられる。外気が入るところで食べている分には、頭がキーンとするなんて心配は無用。氷をかいて、甘いものを掛けて食べればそれだけでごちそうだ。日本ではすっかり定着した「氷の温度を上げ、薄くふわふわにかく」というかき方だと、あっという間に氷が溶けてしまって喜ばれない。むしろ、ボリュームがあって重い具に負けない、粗めにかいた氷が主流だった。
そんな台湾で「でもやっぱり、氷もふわふわなほうがおいしいよね」ということで出てきたのが「雪花冰」だ。牛乳を入れ、甘みをつけて凍らせた氷のブロックを削る。口溶けが柔らかくなるほか、素氷の部分がアイスクリームのような味になる。普通の氷を削ったかき氷は「刨冰」といい、刨冰と雪花冰を選べる店も多い。
“自家製雪花冰+インスタ映え”が最近の人気
かき氷店はもちろん、夜市でも雪花冰は食べられる。牛乳味だけでなく、イチゴ、チョコレート、マンゴーなど、雪花冰そのものの味を選べる店も多い。
最近台湾で人気なのが、雪花冰が自家製で、素材にもこだわっており、さらにインスタ映えする可愛らしいかき氷を出す店である。
「路地 氷の怪物」はそんなお店の一つ。台中発のお店だが、今では台北にも複数店舗を構えている人気店だ。ここの雪花冰はかき氷というよりもアイスクリームのよう。口溶けなめらかで非常においしいし、店名の通りお化けのようなルックスがとてもキュート。食べておいしく、写真に撮って可愛い。
もう一店ご紹介したいのが台北の「Mr.雪腐」。これまで台湾で食べた中で、雪花冰が一番おいしいと思ったのがここだ。特にツートンカラーのスイカの雪花冰を食べたときには、あまりに美味しくて体が震えたくらいである。スイカ以外にもさまざまなフルーツの雪花冰が食べられるのだが、ここでは“火鍋かき氷”の写真を載せたい。しずしずと運ばれてくる鍋の中央には煙突が立てられており、そこからはドライアイスの煙がもくもくとたちのぼる。鍋の中のかき氷が見えないくらいどっさりフルーツが載せられ、さらにパッションフルーツが一つ丸ごと付いてくる。この豪華さで、お値段250元(約875円)。フルーツが安くておいしい台湾ならではのかき氷だ。
最近台湾で人気なのが、雪花冰が自家製で、素材にもこだわっており、さらにインスタ映えする可愛らしいかき氷を出す店である。
「路地 氷の怪物」はそんなお店の一つ。台中発のお店だが、今では台北にも複数店舗を構えている人気店だ。ここの雪花冰はかき氷というよりもアイスクリームのよう。口溶けなめらかで非常においしいし、店名の通りお化けのようなルックスがとてもキュート。食べておいしく、写真に撮って可愛い。
もう一店ご紹介したいのが台北の「Mr.雪腐」。これまで台湾で食べた中で、雪花冰が一番おいしいと思ったのがここだ。特にツートンカラーのスイカの雪花冰を食べたときには、あまりに美味しくて体が震えたくらいである。スイカ以外にもさまざまなフルーツの雪花冰が食べられるのだが、ここでは“火鍋かき氷”の写真を載せたい。しずしずと運ばれてくる鍋の中央には煙突が立てられており、そこからはドライアイスの煙がもくもくとたちのぼる。鍋の中のかき氷が見えないくらいどっさりフルーツが載せられ、さらにパッションフルーツが一つ丸ごと付いてくる。この豪華さで、お値段250元(約875円)。フルーツが安くておいしい台湾ならではのかき氷だ。
ふんわり氷の“日式冰”トレンドと抹茶人気
台湾の人はびっくりするほど日本の情報に詳しい。テレビではよく日本の番組を流していることも多く、日本語ができる人も多い。日本に旅行に行ったことがある人の多さも驚くほどだ。
そんな事情もあって、最近台湾では日本風のかき氷、すなわち「日式冰」を出す店が増えている。台湾の人が思う“日本風のかき氷”とは、ふんわりと氷をかいて丸っこく盛り付けること、さらにトップにエスプーマやクリームを載せることのようだ。抹茶のかき氷も人気が高い。
台北「金鶏母」はそんな日式冰が人気のかき氷店。「然花塊蜜」は、ローゼルやラズベリー、ライチなどのシロップの上にエスプーマを載せ、薔薇の花をかたどった煮りんごを載せた、見た目も麗しいかき氷。ふんわりとかいた氷にエスプーマのバランスは、確かに日本のかき氷を思い出させる。
そんな事情もあって、最近台湾では日本風のかき氷、すなわち「日式冰」を出す店が増えている。台湾の人が思う“日本風のかき氷”とは、ふんわりと氷をかいて丸っこく盛り付けること、さらにトップにエスプーマやクリームを載せることのようだ。抹茶のかき氷も人気が高い。
台北「金鶏母」はそんな日式冰が人気のかき氷店。「然花塊蜜」は、ローゼルやラズベリー、ライチなどのシロップの上にエスプーマを載せ、薔薇の花をかたどった煮りんごを載せた、見た目も麗しいかき氷。ふんわりとかいた氷にエスプーマのバランスは、確かに日本のかき氷を思い出させる。
かき氷をテーマに台湾旅を
台湾の人はかき氷が大好きだ。街のあちこちにかき氷の店や屋台があるし、日本人とは比較にならないくらいよくかき氷を食べる。私は、日本のかき氷は非常にハイレベルだと思っているが、その一方で台湾の人たちのかき氷愛や、かき氷トレンドもまた面白く、追い掛けずにはいられない。
台湾のかき氷については他にもたくさん語りたいことがあるのだが、長くなりすぎたので本稿では最近の流行りに絞り、さらに台北のお店だけを紹介した。台北以外の都市、特に台南や高雄にもおいしいかき氷を食べられるお店がたくさんあり、とても回りきれないほどだ。
「かきごおりすと」では台湾のかき氷店情報も掲載している。もし興味を持った方は、いつか台湾でかき氷を実食してみてほしい。日本のかき氷とはまた違う魅力に気がつくはずだ。
台湾のかき氷については他にもたくさん語りたいことがあるのだが、長くなりすぎたので本稿では最近の流行りに絞り、さらに台北のお店だけを紹介した。台北以外の都市、特に台南や高雄にもおいしいかき氷を食べられるお店がたくさんあり、とても回りきれないほどだ。
「かきごおりすと」では台湾のかき氷店情報も掲載している。もし興味を持った方は、いつか台湾でかき氷を実食してみてほしい。日本のかき氷とはまた違う魅力に気がつくはずだ。